はだいろクレヨンが消えた理由とは?現在の名前と改名の真相を徹底解説
文具店や書店の画材コーナーで、かつて誰もが親しんだ「はだいろ」のクレヨンが見当たらなくなって久しい年月が流れました。幼少期に人物の顔を描く際、迷わず手に取っていたあの淡いオレンジ色のクレヨンは、現在どのような名称で呼ばれ、なぜ文具売り場から姿を消すことになったのでしょうか。
単なる名称変更にとどまらず、社会的な価値観の変容や国際化、教育現場における配慮が深く関わったこの改名劇は、現代の多様性(ダイバーシティ)を象徴する出来事の一つとして語り継がれています。本稿では、大手文具メーカーが舵を切った歴史的経緯から現在の正式名称、そして言葉の背景にある本質的な理由まで、取材データをもとに分かりやすく紐解きます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「はだいろ」が消えた決定的な理由は、特定の人種や個人の肌の色を固定化せず、多様なルーツを持つ子どもたちへ配慮するため。
- 要点2:現在の名称は主に「うすだいだい」や「ペールオレンジ」であり、メーカー各社は1999年から2000年代初頭にかけて順次改名を実施。
- 要点3:日常会話での使用が禁止されたわけではないが、教育現場やJIS規格・教科書表記においては公平で客観的な色名が定着している。
【真相解明】はだいろクレヨンが店頭から消えた決定的な理由と社会背景

文房具の定番であった「はだいろ」という表記が画材のカラーラインナップから除外された最大の契機は、「人の肌の色は多様であり、単一の色を『肌色』と規定することは差別に繋がりかねない」という人権的・国際的視点からの問題提起でした。
1990年代後半、日本国内でも国際化が進み、多様な国籍や人種的ルーツを持つ子どもたちが公立学校に通うケースが急増しました。そうした教育現場において、「肌色」と印字されたクレヨンを使って自画像を描く際、自らの肌の色との違いに違和感や心理的疎外感を覚える児童が存在することが指摘されるようになったのです。
色名が子どもの無意識の固定観念(アンコンシャス・バイアス)を形成するリスクを重く受け止めた教育関係者や市民団体からの声、そしてグローバル展開を進める文具メーカー自身のコンプライアンス意識の高まりが連動し、業界全体で「特定の色を肌の色と決めつけない」という共通認識が確立されました。結果として、主観的・身体的な属性に依存しない、色そのものの特徴を表す客観的な名称への移行が進められました。

肌色クレヨンはいつから変更?大手メーカーの改名経緯と現在の名前

画材業界における色名の変更は、単独の企業による突発的な判断ではなく、主要メーカーが足並みを揃える形で1999年から2000年代初頭にかけて集中的に断行されました。
国内大手の動きを振り返ると、先鞭をつけたのはトンボ鉛筆でした。同社は1999年、色鉛筆の「はだいろ」表記を「うすだいだい」へと刷新。続く2000年には、業界を代表するサクラクレパスが「クレパス」や「クーピーペンシル」の該当色を「うすだいだい」に変更しました。さらにぺんてるも、2000年頃から順次「はだいろ」の表記を廃止し、同社では英語表記に準じた「ペールオレンジ(Pale Orange)」を採用しています。
また、国の標準規格である日本産業規格(JIS)の物体色色名(JIS Z 8102)においても慣用色名としての扱いが見直され、文部科学省の検定教科書や指導要領に準拠した教育現場でも「うすだいだい」「ペールオレンジ」の呼称が標準として定着しました。
「うすだいだい」と「ペールオレンジ」の違いは?主要画材の名称比較

現在流通している画材を見ると、同じ色合いでありながら「うすだいだい」と「ペールオレンジ」という2つの呼称が併存しています。この違いは、メーカーごとの命名思想(和名表記か洋名表記か)の違いによるものであり、指し示している実際の色相(薄い橙色)に本質的な差異はありません。
サクラクレパスやトンボ鉛筆は、幼児や小学校低学年でも直感的に色の系統が理解しやすい日本語表記の「うすだいだい」を選択しました。一方でぺんてるは、海外輸出比率の高さやデザイン分野での汎用性を考慮し、国際的に通用する「ペールオレンジ」を採用しています。
| メーカー・ブランド | 現在の名称 | 改名実施時期 | 採用の背景・特徴 |
|---|---|---|---|
| サクラクレパス | うすだいだい | 2000年9月〜 | クレパス・クーピー等で改名。子どもに分かりやすい和名を重視。 |
| トンボ鉛筆 | うすだいだい | 1999年〜 | 大手文具メーカーとしていち早く対応。色鉛筆の主要製品で刷新。 |
| ぺんてる | ペールオレンジ | 2000年前後〜 | クレヨン・絵の具で改名。海外展開や色彩教育の標準化を意図。 |
| 三菱鉛筆 | うすだいだい | 2000年前後〜 | 学童用色鉛筆「880番」等で変更。公立学校の推奨表記に準拠。 |

【実態検証】教育現場と家庭のリアル|子どもたちは今どう呼んでいるのか
改名から四半世紀近くが経過した現在、教育現場や子育て世代の間ではどのような変化が起きているのでしょうか。現場の保育士や小学校教諭へのヒアリング、および保護者のコミュニティ調査によると、現在の学童世代は「はだいろ」という言葉を画材名として認識していない実態が浮き彫りになっています。
保育園や小学校の図画工作の授業では、教師が一貫して「うすだいだいを持ってきてね」「ペールオレンジで塗ってみよう」と指導しているため、子どもたちにとっては「赤」や「青」と同列の純粋なカラーネームとして定着しています。
一方で、昭和・平成初期に教育を受けた保護者世代の間では、家庭内で無意識に「肌色取って」と言ってしまい、子どもから「肌色じゃなくて、うすだいだいだよ」と指摘されて驚くといったジェネレーションギャップの事例が頻繁に報告されています。幼少期に刷り込まれた言葉の力は強力であるものの、世代交代とともに画材の呼び名は着実に刷新されています。
一般に知られていない盲点と誤解|「肌色」を使うと差別になるのか?
ネット上の議論やSNSでは、しばしば「肌色という言葉自体を使ってはいけないのか」「過剰な言葉狩りではないか」といった極端な意見が見受けられます。しかし、ここには明確な事実誤認が存在します。
メーカー各社や教育機関が変更したのは、あくまで「特定の一色を『肌色』と名付けて製品化・規格化すること」についてです。日本語としての「肌色(はだいろ)」という語彙そのものが禁止・抹消されたわけではありません。日本古来の伝統色名(伝統色としての肌色)や、化粧品・ストッキングの質感・色調を表す日常会話表現としての使用までが否定されているわけではないのです。
問題の本質は、「誰もが使うべき基礎画材の中で、特定の色を万人共通の肌の色としてラベリングすること」にありました。客観的な色名へ移行したことで、子どもたちが自画像を描く際に「自分の肌は少し茶色に近い」「黄色みがかっている」と、複数の色を混色して表現する自由と観察眼が育まれるという、美術教育上のメリットも生まれています。
【プロの結論】多様性配慮と文化継承のバランスから見出すべき教訓
言葉の変化は、社会の成熟度を測るバロメーターです。かつての「はだいろクレヨン」の改名は、他者への想像力と心理的安全性を重んじる社会への第一歩でした。
過剰な言葉狩りとして反発するのではなく、「なぜその変更が必要だったのか」という背景の文脈を理解することが重要です。伝統的な日本語表現としての豊かさを尊重しつつも、公の教育やプロダクトにおいてはあらゆる背景を持つ人々を包摂する表現を選ぶという「適切な使い分け」こそが、成熟した多文化共生社会において求められる姿勢です。

【はだいろクレヨン】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:現在、画材売り場で「はだいろ」と書かれたクレヨンを買うことはできますか?
A1:国内主要メーカー(サクラクレパス、ぺんてる、トンボ鉛筆等)の現行正規ラインナップでは完全に製造・出荷が終了しており、購入できません。現在はすべて「うすだいだい」または「ペールオレンジ」として販売されています。
Q2:クーピーペンシルに入っているあの色は現在何色になっていますか?
A2:サクラクレパスの「クーピーペンシル」では、2000年秋の改名以降、すべて「うすだいだい」という名称でセットおよび単品販売されています。
Q3:海外でも日本と同じように肌色の改名が行われたのですか?
A3:はい。アメリカの代表的クレヨンブランド「Crayola(クレヨラ)」では、日本よりもはるか以前の1962年に「Flesh(肌色)」から「Peach(ピーチ)」へと名称を変更しています。さらに近年では、世界中の多様なスキントーンを再現できる多色セット(Colors of the World)を展開するなど、国際的にも多様性への配慮が標準となっています。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
はだいろクレヨンが店頭から姿を消し、「うすだいだい」や「ペールオレンジ」へと改名された背景には、人権尊重と多様性への配慮、そして教育現場の公平性を重んじる明確な理由が存在します。
子どもの入園・入学準備や画材選びの際は、「はだいろ」を探すのではなく、指定に合わせて「うすだいだい」または「ペールオレンジ」を選択すれば間違いありません。言葉の背景にある意図を正しく理解し、世代間の感覚の違いをしなやかに受け入れることが、現代のコミュニケーションを円滑にする鍵となります。 (出典: は だ いろ クレヨン(Yahoo!ニュース))